イベントリポート
2018/08/10
みんなで考えよう!
「まちライブラリー×集合住宅の未来」
イベントリポート【前編】
イベントリポート
前編
魅力を秘めた「まちライブラリー」のスタイルが、
マンションの新しい未来を垣間見せてくれました。

みんなで考えよう!「まちライブラリー×集合住宅の未来」イベントが行われ
たのは、難波にある「まちライブラリー@大阪府立大学」。一般参加者が、そ
れぞれお気に入りの本を持って集まりました。
持ち寄った本を使っての自己紹介が行われた後、2 部構成でイベントが進行。
第1 部は「まちライブラリー」提唱者の礒井純充さんによる「集合住宅×まち
ライブラリー」テーマの講演が約1 時間。全国に広がる「まちライブラリー」
の事例から、集合住宅のコミュニティ形成まで、熱く語られました。
第2 部は参加者による「サードプレイスのある暮らし〜まちライブラリー×集
合住宅の未来」をテーマとした約1 時間半のワークショップ。さまざまな意見
が交換され、みんながアイデアを出し合って、ユニークなコミュニティ・コン
セプトが導き出されました。
およそ3 時間のイベントは、参加者全員が濃密な
時間を十二分に堪能して終了しました。
本を通じて人と人を結ぶ「まちライブラリー」の仕組みが、
地域の様々な人に開かれたコミュニティを育んでいきます。

礒井さんが提唱して全国に広げてきた「まちライブラリー」とは、利用する人が本を持ち寄り、それをみんなで貸し合いながら育てていく私設図書館。
今では600 以上もの「まちライブラリー」が誕生しています。
ところで、この「まちライブラリー」と集合住宅、どう関係しているのでしょうか。礒井さんの講演の中からキーとなるお話を探っていきましょう。
「寄贈で集めた本に、折り紙みたいなメッセージカードをつけることで、
人と人がメッセージでつながる。メッセージが交換されていくと面白いことが生まれ
るかもしれない。
さらに集う場所ができるともっといろんな形でつながっていくだろうと考えていました。」
(礒井さん)
全国で脚光を浴びる「まちライブラリー」の魅力は、本を介したコミュニティが成立していること。
みんなが持ち寄った本にメッセージを添え、読んだ人もまた同じカードにメッセージを加えていくという仕組みがベースにあります。
さらに、本箱を作って本を集めるだけではなく、人と人が本を介して集い、同じ場を共有する仕掛けが定期的に提供されてきたということも
コミュニティ形成にとって大きな役割を果たしてきました。
独自に考え出したシステムで、全国に数々のコミュニティを実現させてきた礒井さんから、
集合住宅で「まちライブラリー」を展開する上でのいくつかのヒントをいただきました。
たとえば一般的な図書館では、およそ半径500 メートルの周辺に開かれていると利用者が大きく広がっていくそうです。
集合住宅における「まちライブラリー」にも、一般の人が利用できる仕組みが求められ、
またそうすることで「まちライブラリー」を中心としたコミュニティの姿も大きく変わっていくと話されます。
「まちライブラリー」を暮らしの中核に据えてコミュニティを育んでいくためにも、地域に開かれた運営のあり方が求められています。
開かれたコミュニティを作るということは、集合住宅の中だけではなく、街や地域の中で文化発信を行い、その育成につなげていくことだと改めて思いました。
さらに、人々をつなぐコミュニティには、20 年、30 年、親子何世代かにわたって育てていくという想いも大切になってくるようです。